食べ物はそれぞれ「資質」「動き・方向性」「体温への影響」「味覚」などの要素を持っています。この特徴に加えて形や色、大きさなどの外的要因も加わる事で1つの「食べ物」になります。
さらに素材のままではなく、調理することでもっと広く大きい要素が加わり、私達の体に様々な効果を与えてくれます。Lesson5ではマクロビオティックに大きく関わる食材について学習していきましょう。
全粒穀物
まずはマクロビオティックの基盤となる食材、全粒穀物について学んでいきましょう。
全粒穀物とは穀物の種皮や胚などを取り除かなかった物のことで、主に玄米やふすまを取っていない麦などが当てはまります。他にもトウモロコシや蕎麦もこちらに含まれます。
全粒穀物はマクロビオティックの主食に当たるためどの献立にも起用され、常に食されてきました。故に人類の進化を支える基盤となり、強力な平和のエネルギーを持つと言われています。
まだ今ほど科学が進歩していない時代では穂の真っ直ぐな茎は体を一直線に正し、しっかりした根と穂先の小さな毛の両方から大地と天のエネルギーを吸収し、風に倒されない柔軟性などが体に直接作用すると考えられていました。
このような考えの基から食べられるようになった穀物は、地上で最も豊富に繁茂する作物です。品種によっても変わってきますが、大半の穀物は大暑や酷寒などの気候にも対処できる柔軟性を持っているので、多くの土地で生産されるようになってきました。
そしてこの食生活が現代まで続き、今でも私達の主食として支え続けてくれています。
挽き割りやフレークなどの穀物加工品、パンやマフィン・ビスケットなど固く焼しめた小麦粉製品、トルティーヤやパンケーキなどの柔らかい小麦粉やトウモロコシ製品、味噌やしょう油・日本酒などの発酵食品や飲み物など、様々な形で私達の生活に取り入れられています。
栄養の面から見ても消化・排出作用を促進させる複合炭水化物と食物繊維が豊富に含まれているので、消化器系を正常に働かせてくれます。他にも神経を円満にするビタミンB、体を成長させてくれるタンパク質、骨や歯を作るカルシウム、血液を改善してくれるミネラルなど多くの栄養が含まれます。
では、ここで少し細かく説明していきましょう。
玄米
玄米はマクロビオティックの観点から見ると、栄養とエネルギーのバランスが良く、全ての臓器に効果をもたらす完璧な食材として考えられています。しかも臓器だけでなく脳、精神にも影響をもたらすので心を落ち着かせる働きも有してます。
もち米で作った玄米の場合は体を温めてくれる作用と母乳の出を良くする作用から、親子の情愛を深めると考えられています。
麦
大麦は体の熱を冷まし、肝臓や胆のうの機能を促してくれます。そして動物性のたんぱく質や脂肪の排出を促進してくれるので、ダイエットや体質改善などに用いられます。
小麦自体は炭水化物のエネルギーを与える作用から、力強さや洞察力を高めてくれます。また、小麦粉にして調理すると作用が変わってきます。
パスタや麺類、クレープなどの柔らかい食品は消化に良いので素早くエネルギーが摂取でき、食べ応えや満足感も得られるので過食を抑えてくれます。一方パンやクッキー、クラッカーなどは歯ごたえがあるので満足感は高いのですが、消化はそこまでよくないためマクロビオティックとしては避けたほうが良い食べ方です。
ただ、白く精製された小麦粉製品は血糖値の急上昇を招くなどの側面もあります。精製すると綺麗になるので手にし易いですが、マクロビオティックの考えでは可能な限り自然な状態の食品を扱うので、多量摂取は控えたほうがよい食品となります。
トウモロコシ・ソバ
これらは厳密な植物学の意味では穀物ではないのですが、準穀物としてこの種類に属します。
トウモロコシは穀物の中で最も拡散力に優れていて、そのエネルギーは心臓や小腸に大きく影響を与えます。日本では少し馴染みが薄いですが、粉状にして調理したトルティーヤなども主食として食べられています。
ソバは一般の穀物の中でも最も強力なエネルギーを持っています。しかしエネルギーが強い分、治療食として扱うのは難しいので注意が必要です。皆さんが思い浮かべる麺のソバは小麦が含まれているので、全粒の形で食されるソバの代表としてカーシャという食べ物があります。