Lesson7-1 食事と病気の進行 正常・異常な排出

ここまでマクロビオティックにおいてどの食材を選べばよいのか、どれを避けるべきなのかについて学習してきました。ここからはその食材がどのような働きをもたらしてくれるのかについて、学んでいきましょう。
まず初めに知っておいてほしいことは、マクロビオティックにおける治療の考え方です。
健康や幸福は自然との調和からもたらされ、病気や不幸は体の内面世界と外的環境との不調和や不均衡などのアンバランスさが体に反映されて引き起こされます。健康になるためには自然の秩序を理解し、それを日々の食生活に取り入れて体を改善させる必要があります。
 

正常な排出作用

人体の代謝機能として、大きく4つに分けられます。

  1. 呼吸機能による酸素の取入れと二酸化炭素の排出
  2. 発汗作用によって体内廃棄物、老廃物を体表から排出する働き
  3. 放尿作用によって尿素、尿酸の排出
  4. 排便作用による栄養を吸収された食べ物、細菌、水分などの老廃物の排出

これらの働きにはそれぞれ排出作用に使うエネルギーが伴われます。全体の割合として①で70%、②で20%、③で7%、④で3%のエネルギーを使用して老廃物が排出されます。
ですがこれらは一般的な数値であって、運動などの身体活動によって発汗が盛んになったり、感動や悲哀などの精神活動によっても排出量は変わってきますので一概に正しいとは言えません。
健康な生活と健康な食事を得たら、自ずと快便な体を作ることが出来ます。老廃物をいつまでも体の中にとどめていては毒素が溜まる一方なので、自然とお通じが良くなるようにしましょう。

病気の進行のステップ

病気の進行には、体に現れる症状に順序があると考えられています。

  • 第1段階:異常な排出
  • 第2段階:苦痛や痛み
  • 第3段階:血液の劣化
  • 第4段階:蓄積
  • 第5段階:貯蔵

というように、順を追って進行していきます。兆候に気づいたら、早めの対処をすることが大切です。
それぞれの段階においての特徴をこれから説明していきます。
 

第1段階:異常な排出作用

腹痛
飲み会や祝いの席などで食べ過ぎてしまったり、極端な食べ物を食べてもすぐには体調には現れず、排出作用も適度に行われるでしょう。人間の体はそこまでヤワではないのです。
しかし過剰に食べ過ぎてしまうと栄養を取る間も与えず排出してしまう場合もあります。他にも呼吸の乱れ、吐き気、多汗、便秘など他の排出機能にも悪影響を与えるので、暴飲暴食は身体にとって百害あって一利なしなのです。生体機能の低下はそのまま健康にも影響を及ぼします。
特に、Lesson6で挙げられた極端な食材を長期的に食べた場合、すぐには体調には現れなくとも、身体の中で悪性な要素が溜まって行く可能性があるので、出来るだけ避けるようにしましょう。
しかし、不本意ながら過食をしてしまう場合もあるでしょう。そのような場合には、次の食事、次の日は食事を抑えるなどして調整するようにしましょう。もし対処を怠って便秘や下痢が連続するなど体調が悪くなってしまった場合は、健康的な食事で体機能の調整、適度な運動で消化器系の働きを正常に戻していきます。
現代では西洋医学の発展により、体調が悪いとすぐに薬に頼る傾向がありますが、これはマクロビオティックの実践としてはできるだけ控えたいものです。薬は化学製品の塊であり「不自然なもの」にあたります。
薬に頼らなくても、日頃から食事や運動など生活様式を整えておくことで万全の予防となり、また少しくらい体調が崩れても、身体が本来もっている自然治癒力で治していくことができます。