Lesson4-1 人体のバランス 陰陽論

陰陽論

マクロビオティックを行う上で、原則の他に知っておいてもらいたい定義があります。それがLesson2-2で少しご紹介した『陰陽論』です。
まず簡単に説明しますと、『陰陽論』とはこの世の全ては陰と陽の2つに分類されるという東洋医学の考え方です。
「なぜマクロビオティックで東洋医学が?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、最初に説明したようにマクロビオティックは東洋で育まれた哲学や医学の応用系です。そのため東洋医学の考えが諸所に組み込まれているのです。
では話を戻して陰陽論について説明していきましょう。

陰と陽の存在

陰陽
陰と陽とは「対(つい)」になる2つの存在を指します。
例えば夜と昼、冬と夏、女性と男性といった形で対になりつつも、どちらか一方があるからもう一方が存在することが出来る様に支え合っている関係のものです。互いに持ちつ持たれつの関係で円満な状態を示すことから、図のような円形が陰陽論の象徴となったのです。

特殊な反応

基本的には対になる存在が寄り添う事で陰陽が成り立つのですが、それとは別に陰陽の特徴が見られたり変化したりする反応があります。
消長
その1つが『消長』です。
上記で例に挙げた夜と昼、冬と夏も対になりますが、これらは時間の軸を中心に見られる現象です。このように時間が過ぎる事で陰から陽へ、陽から陰へと性質が徐々に変わっていく現象のことを消長と言います。
このように周期的に繰り返される現象は夏至や冬至などといった形でどちらかが頂点に達した時に、自然と行われる現象なのです。
そしてもう1つの特殊な動きは『転化』です。
もし陰か陽の要素が頂点に達しても消長が行われなかった場合、どうなるでしょうか? 答えは陰は陽へと、陽は陰へと性質が真逆になってしまうのです。なぜこのようなことになるのかと言いますと、陰と陽にはそれぞれ許容出来る範囲が決まっているからです。
例えば「お腹が減った」と感じて食事を取ったとします。ここから徐々にお腹を満たして行って満腹になれば少しずつ消化してまた空腹の状態にします。この動きは先程学んだ『消長』と同じです。
しかしここで満腹になっても食べ続けたらどうなるでしょうか? 過食による気分の低下、消化不良、腹痛など、体に害を及ぼすことになってしまいます。このように本来体を癒すために行っていた食事も、度が過ぎれば体を壊す原因になってしまうのです。
世の中には苦行を乗り越えて悟りを開いたり、わざと体を壊して体内の栄養素を摂取する前に排出するやり方などもありますが、マクロビオティックでは御法度です。バランスの良い食事と充実した日々を送る事で健康な体を作り上げる事こそ、マクロビオティックの基本なのです。
その為に陰と陽が自分の体にどれだけ必要なのかを知ることが重要となり、それを理解する為に陰陽論は知っておくべき基本となります。