Lesson6-3 両極端な食べ物 その2

果物と果汁

梨
果物は基本的に体の熱を冷ましてくれる働きを持ちます。夏場や風邪時に食べられることが多いですが、マクロビオティックでは果物は陰性が強い食べ物であり食べ過ぎてしまうと冷えを加速させ、血管が縮こまって血行を悪くするとされます。
血行の巡りが悪くなるとエネルギーや活力の巡りも悪くなり、やる気や精力も低下してしまうため、生での果物の摂取はあまり推奨されていません。
ビタミンを摂取することは重要ですが、冷えを助長させては健康を根本から揺るがすため、果物を食する場合には、マクロビオティックの調理法基本である「火を通す」調理をするとよいでしょう。
また干し柿やドライフルーツのように、乾燥させることでも陰性の性質を弱めることができます。

砂糖・お菓子

砂糖やそれを多く使うお菓子は大量のエネルギーを持っているので、血糖値を上げてすぐに活力を与えてくれるようなイメージがあります。しかし市販の精製された白砂糖を用いる菓子などは、このエネルギーが大きすぎ、また急激な血糖値の上昇による弊害が多く指摘されています。
血糖値の急上昇はすぐに血糖値の急降下を招き、虚無感や不快感が現れて苛立ち易くなります。さらに血糖値が急降下すると、身体は危険な状態だと判断し、血糖値を上げるために食欲が止まらなくなります。また血糖値が急上昇すると、血管へのダメージも大きいと指摘されています。
このような身体へのダメージは、特に精製された白砂糖や、飲料に含まれる果糖ぶどう糖液糖などで顕著ですが、黒砂糖、糖蜜、トウモロコシなどの果糖などでも同様の作用が見られるので、多食は控えましょう。
とは言っても、甘いものを全く控えることはストレスとなってしまいます。甘いものが食べたくなったら、Lesson14-8Lesson15-4などにあるレシピを参考にしてください。より自然に近いものを手作りして楽しんで食べるとよいでしょう。

スパイス・刺激物

スパイスは蒸し暑い気候の土地で、熱の発散が目的で食べられてきました。さらに心と神経系にも刺激を与えるので体全体の機能を調和してくれます。
ですが、これはスパイスを古来より使用してきた土地に特化した体(体質)を持つ人の話であり、日本のように四季がある温帯地域では特定のスパイスを大量に取る必要はありません。むしろ刺激物であるスパイスの多量摂取は「不自然なこと」に該当してしまいます。
日本古来のスパイス・ハーブには、生姜やわさび、しそなどが代表的なものとなります。どれもメニューの主役となることはなく、付け合せや薬味として使用されてきました。
このように、少量を香り付けや最後の薬味程度に扱うだけでも十分でしょう。
 
また、コーヒーや紅茶などのカフェインが大量に含まれる刺激物も、マクロビオティックでは避けるべき飲み物です。強い陰性によって神経系を刺激するため眠気覚ましによく用いられますが、その一方で心臓の鼓動を速めてしまうため、過剰な疲れも引き起こしてしまいます。
日常的な飲み物としては、茎番茶をはじめ、麦茶や玄米茶など刺激や香りが強くないお茶がおすすめです。適度な水分摂取はとても重要となりますので、Lesson8-4を参考に選んでみましょう。
 

ビタミン剤・サプリメント

薬&体温計
サプリメントを使用する人の割合は年々増加しているという調査結果があります。
忙しい現代においては、時間に追われゆっくりと食事を取れない方も少なくはないでしょう。その為必要最低限の栄養素が記載されたビタミン剤サプリメントをやむなく使用することもあるでしょう。
ですが、これらはあくまで「補助」食品、その場しのぎの代用品であって、体を作る為の栄養素にはなり得ないものです。
ビタミン剤などはいずれも機械によって編み出された人工物なので、自然のエネルギーはほぼ皆無と言っても過言ではありません。また一言でビタミンといっても、自然界にあるビタミンは私達の身体は吸収利用することができますが、人工物であるビタミン剤などのビタミンは、私達の身体は吸収分解できない、という研究結果もあります。
そのような物を長く服用すれば消化器系、循環器系、神経系などの機能に混乱が生じてホルモンバランスが崩れていくでしょう。
 
表面的に得られる健康よりも、老いた時にも活力を与えてくれる根底的な健康を作り上げた方が、人生をより豊かにしてくれます。そのことをしっかりと把握し、不自然なもの、極端な食べ物を見分けるようにしましょう。